まれに企業のホームページに、ロゴに込めた思いや意味を掲載されている記事を見ます。
読むとなるほど〜と思うロゴもあれば、なんじゃそれって思うものもよくありますよね。

私が「なんじゃそれ」って思うロゴは、
上記の画像のような「この丸は、××を表していて、この隙間は□□を表しています」というような
あきらかに後付けとしか思えなくて、そしてとても表現されているようには思えない形で形成されているロゴです。
以前「この隙間は○○がたくさんあるという事を意味している」と説明されていたロゴを見た事があり、
「いやいや、それはただの隙間じゃ〜ん。」としか思えませんでした。

そのとき流行っていた形でしたし、私にはトレンドをなんとなく形にして作っただけだろうと見えました。

事実そういう後付けされただけのロゴは多く存在します。
もちろんちゃんと計算されたロゴも多く存在します。

ですが、そもそもなぜロゴに意味をつけるのか、そしてそれは効果があるのでしょうか。

 

意味付けするスケール感

デザインは経営戦略の一つです。
趣味や験担ぎではありません。
「この○○はこれを意味する」なんて言われてもよく分からない事よりも
大切なことがあります。

経営戦略として「どういう存在になりたいか、そのタメにはどんな感じの見た目がいいのか」
ということを考えることです。
それはマーケティング的観点で、競合と被らないようにする事や差別化を図るということもそうですし、
目指すべきポジションや、自社の強みをアピールできるもの、など
総合的に考えて結論づけた
「どういう存在になりたいか、そのタメにはどんな感じの見た目がいいのか」
を考えます。

経営戦略として、大きなスケールでの「意味」が大切です。
逆に、「この○○の形は〜」というような、形一つ一つの意味なんてなくてもいいんです。
全体としての意味(狙い)が必要です。

 

企業理念をこめる利点

企業理念を込めたロゴはどうでしょうか。

ロゴに企業理念を反映させると、社員にとって大事な旗印となり指針にもなります。
そして、消費者に向けての企業メッセージになっていきます。
企業メッセージは、消費者が抱くブランドイメージ構築には欠かせない要素です。

また企業理念はいい人材を確保するためにも大切な要素です。
社長の理念に共感して入社した社員は少なくないはずです。

そのため、込めるメッセージはなんでも良い訳ではありません。
ブランドイメージとしてアピールになるメッセージなのか、考えなくてはなりません。
起業した理由が「儲けたい!」という理由だけだったとしても、
「皆で儲けよう!」という意味をロゴに込めても逆効果ですよね。

SOFTBANKのマークは海援隊のマークを元にしているそうです。
孫さんは海援隊が好きで、そのスピリットを尊敬しています。
SOFTBANKもそういうスピリットを掲げており、そしてそんな孫さんにあこがれて入社する人も少なくないでしょう。
そう考えると社員にとって、活力ともなるロゴだと想像がつきます。
http://www.softbank.jp/corp/about/identity/

ちなみに私は、
chordmarkという名前でデザイン事務所を営んでおります。
「琴線にふれるデザインを提供したい」という意図から屋号をつけており、
ロゴマークには笑顔を隠しています。
縦にすると笑顔が見えてきます。

 

不本意な仕事をせざるを得ないとき、
ロゴマークをみて、「琴線にふれる仕事なんてできてないな〜」と初心に帰って反省することがあります。

このように経営者の理念を反映させることは、メッセージとして、また、旗印として機能できる要素として大切です。

逆にいえば、経営戦略を考えてなく、また旗印にならないような主観的願望(例えば売上向上を祈願し、矢印をモチーフにした、ブランドイメージ向上につながらないような主観的願望)をモチーフにした意味づけは
まず無意味だと私は思っています。

 

きちっと共有できていれば説明なんていらない

デザイナーが、全体の意味(狙い)ではなく、こういった各パーツにつけた意味を後付けでつけてくる場合には、
クライアントへのプレゼンテーションの際の説得のために、用いていることが多いです。
各企業の様々な事情からか、はたまたクライアントの事情からか、それとも元請け下請けなどの社会的構造からかは分かりませんが、
とにかくデザイナーがクライアントにきちっとヒアリングできる案件は
日本全体を見回しても、少数派でしょう。

きちっとした過程を踏んでいない制作物は説得力に劣ります。
クライアントの納得を得るのは難しいです。
少しでももっともらしい説明をするために、そして「好み」という主観の固まりに振り回されることを恐れ、
こういった後付けをするデザイナーは非常に多いです。

また、デザインの意味なんて後付けで十分と考えている感覚的すぎるデザイナーもいます。
私はそういうのは、賛成できませんが、事実います。

ですが、きちっとクライアントと共有ができていれば、デザインの説明はいりません。

弊所が手掛けたニジマチさんのロゴはその案件の一つです。

 

ロゴを制作する前に、何度もヒアリングやリサーチをし、目指すべきポジションを決め、両者納得いくコンセプトを設定してから
ロゴ制作にはいりました。

デザインを見せるときは何も説明しませんでしたし、デザイン自体の修正はほとんどなく納品しました。
デザインに対する議論を行なう際は、すべて我々が設定した事に着地できているかどうかだけに
議論の照準を絞って話すことができました。

このような状態になるまでには一定レベルの時間が必要ですが、
会社のロゴを決めるときぐらいはやるべきことだと思います。

 

まとめ

ロゴには意味が必要です。しかし、ちゃんと機能する意味づけであることが大切です。
形に付加された意味よりも、もっと大きなスケールをまずは議論すること、
その次に細かなディテールにおいて意味を持つ必要があるなら、持てばいいと思います。

そうすればきっと、納得できるロゴができあがるはずです。
大事なロゴの時は、「大きな意味」を考えることをお勧めします。